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2008年11月

瑪瑙・アマゾナイト(ブルークォーツァイト)

ちょっと一休みの11月末。クリスマスまであと少し。如何お過ごしですか。

Dvc10096 石を買ったりすると時々おまけがついてくることがあるのですが、うれしい反面「どうしようかなー」と思ってしまうものもあったりします。この瑪瑙(アゲート)の指輪も、何しろ大きくて思案のしどころ。どうしようかなーと思った末に、クリスマスっぽいキーホルダーに変更しました。下の青い石はアマゾナイト(この石はアマゾナイトとして売られていましたが、多分ブルークォーツァイト。珪石を染めたタイプのものです。)

珪石というのは、グリーンクォーツァイトの項目でも書いたとおり、風化した水晶の小さな欠片(川や風で運ばれて小さくなったもの)が、地中にもぐり、ぎゅーっとされてくっついたものです。当然組成はSiO2。水晶はもっと温度も圧力も高いところで結晶しているのですが、これはくっついているだけなので、水晶よりちょっとだけ硬度が下がります。といっても硬度は6.5-7なので、まぁそんなに気を使わない方です。

Dvc10097 瑪瑙というのも組成は同じですが、風化した水晶の欠片がくっついたのではなく、もともと細かな水晶の結晶粒が集まってくっついたもので、このうち半透明なものがカルセドニー、縞があるのがアゲート(=瑪瑙のことです)、赤かったらカーネリアン、白・黒だったらオニキス、縞があってかつそれが直線的なものがサードオニキス(赤が強いとサードカーネリアン)、不透明ならジャスパー、不透明な緑で赤の斑点が見られるものがブラッドストーン、半透明のアップルグリーンがクリソプレーズ、水色の縞の美しいものがブルーレースアゲート…と以下延々と続きます。全部組成はSiO2で、結晶していないので、鑑別にかけると()とかで「クォーツ潜晶質」と出ます。こっちも硬度は6.5-7です。

ちょっとわかりにくい分類ですが、どっちもSiO2なので、あとは結晶しているかどうかと見た目で区別しているようです。私自身、珪石と潜晶質クォーツ(カルセドニー等)との違いはまったくわからず。ただ、珪石と潜晶質クォーツはどちらもとっても染まりやすいので、私を含み「染物嫌い」の人は気をつけましょう。染色していなくても、カーネリアンは加熱して色を濃くしたりと、深く考えると落ち込みそうなことばかりなので、ある意味色が気に入ったらよしとするくらいの方が気が楽かもしれません。

世界中に沢山あるSiO2のお話になりました。よい日曜日を過ごしてくださいね。

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ラブラドライト・ブレスレット

時々、「この石のことを書こう」と思っていたのに、違う石のことを結局書くことがあります。今日もそんな日で、チェストの上に載っていたラブラドライトを何となぁく連れてきました。見方によったら気味が悪そうな石なのに、何故か愛嬌のある石です。(あ、写真は、何だかとっても写りが良かったんです。実際はこのブレスレットをつけるのに、私はちょっと勇気がいります)

Dvc10186 ラブラドライト。組成:(Ca,Na)(Si,Al)4O8。硬度6-6.5。カナダのラブラドル半島で見つかったことからこの名前がつけられました。気がついている方もいらっしゃるかと思いますが、実はもっと長い組成式を書いているサイトも沢山あります。それはラブラドライトを含む長石という種類が鉱物の中で種類も多く、正確には3つの成分(カリ長石・曹長石・灰長石)がどのように含まれているかで現在は分類されており、ラブラドライトは曹長石が50から30%間、灰長石が50から70%間の割合で含まれているものだそうです。ですので、長ーい組成式はこの割合をも示す形になっています。

ナトリウムを多く含むと曹長石(アルバイト)、カリウムを多く含むと正長石(オーソクレース、ムーンストーンはこの正長石、カリ長石ともいいます)、カルシウムを多く含むと灰長石(アノーサイト)と大まかに分類され、細かくは各成分の割合によって名前が決まるわけです。20種類以上あるんですって…。レインボームーンストーンと言われている、虹色のシラー(本当はラブラドレッセンス)が見えるものは組成の割合を見ると、このラブラドライトに分類されます。ただ地の色が無色なんですね。良くあるタイプのサンストーンは曹長石:灰長石が90-80:10-20位の灰曹長石(オリゴクレース)で、赤のアベンチュレッセンスを見せるもの。ぺリステライトは、正長石と曹長石の間から、曹長石がちょっと多いものと私は理解していますが(2009年6月13日加筆:曹長石に近いもののようです。)、もっと詳しい方がいたら是非教えてくださいね。

Dvc10182 長石の話はこの辺で。このラブラドライト、ちょっと得体の知れない石だなーと思っていたのですが、何でも直観力を養ってくれる、とか宇宙からの啓示を受けられる石といわれているそうです。ラブラドレッセンスが浮かび上がる様子は確かに何かを教えてくれそうな感じ。個人的には、「もののけ姫」に出てきたコダマを思い出します。

地の色の濃いもので、透明感があり、クラックのないものが良いものだそうです。これはトップグレードのものではありませんが、手のひらで転がすとラブラドレッセンスがくるくると表情を変えるのが楽しめます。じーっと見ないとスターが見えないとかいうレベルではなく、誰にでもよく見えるのがいい所。

女の子向けのブレスレットには考えてしまいますが、男性用なら私一押しの素材です。(水晶や、タイガーアイのブレスレットをしている男性の方が多いのですが、ラブラドライトだったらちょっとミステリアスな印象を与えると思うんです。水晶やタイガーアイほどには知られてないですし)

風邪など召さぬよう、よい日曜日をお過ごしください。

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アベンチュリン(リアルアベンチュリン・グリーンアベンチュリン)

日ごとに寒く…というか今週はなかなか太陽に恵まれない東京です。石の写真は、晴れた日の仕事に出る前に撮っておくのですが、1週間くらい続くと、曇りの日でも写真を撮らないと日曜に記事を書けなくなっちゃうので、明るめの時を狙って撮ります。そういう写真は暗いこともあってかやはり青味が強く出ちゃうんですね。おひさまの力は偉大です。(もちろん太陽の光がないほうがきれいに撮れる石もあるんですけどね)

Dvc10165 今日は、結構好きな石。アベンチュリンです。以前「グリーンクォーツァイト」の所で少し触れましたが、アベンチュリンはもともとはヘマタイト(赤鉄鉱)やゲーサイトを含んだ赤が「きらきらひかる」珪石のことでしたが、赤いものは産出量が少ないため、グリーンのフックサイト(雲母)がきらきら光るグリーンアベンチュリンが広くアベンチュリンとして扱われるようになりました。「アベンチュリン」は「アベンチュレッセンス=きらきら光る」が語源のため、きらきらしてないものは本当はアベンチュリンではないことになるのですが、きらきらしていないものの方が多かったからか、そちらが「アベンチュリン(私はグリーン・クォーツァイトと言っていますが)」、今日の石のように雲母がきらきらしているものを「リアルアベンチュリン」といって区別しているようです。(現在販売されている赤のアベンチュリンはレピドライトが入っているものがあります。キーワードはとにかく「きらきら」、きらきらしているクォーツァイト=アベンチュリン)名前の由来としては、そんなところから来ています。

Dvc10167 硬度:6.5-7、組成SiO2。(←微量なインクルージョンはいつもの如く勘定にはいらない化学式)組成直接太陽の光があたると確かにきらきら光ります。私にはきらきら光ることよりも、この濃い緑が大好き。見てて飽きませんし、何よりほっと息のつける色。

見るからに同じ種類の石で「ヒマラヤ・アベンチュリン」と表示されているのを見たことがありますが、この石はインド産。本当にヒマラヤの方からやってきたのかもしれません。

今日も皆様にとって素敵な日曜日となりますように。

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ブルートパーズ(スイスブルー)

北風が電線にひゅんひゅん音を立てるのが好きです。その音に無謀にも立ち向かおうとしている心があることに安心するのかもしれません。今日もお茶を飲みつつ、日曜日の朝を過ごします。元気があるときは、豆をゴリゴリして、淹れたての珈琲(お茶じゃないじゃないか)を飲みますが、最近は専ら、ハーブティー。近くの南蛮屋で、何種類かごっそり買ってきて、ちょちょっと調合しちゃいます。幸せ。

Dvc10142 今日は「石」ではなく、本当に「宝石」という感じ。トパーズは11月の誕生石。実はトパーズについては、こんな風にアクセサリーに使えるようなものはほとんど何らかの人為的処理がされています。美しいインペリアルトパーズは色の薄いシェリートパーズ(OHタイプ)を加熱したものが多いですし、この「スイス・ブルー」は透明なトパーズに中性子線を照射してその後加熱しています。ロンドン・ブルーと言われるこれよりもう少し濃い色はスイス・ブルーより少し多く中性子線を照射したもので、スカイ・ブルーと言われる薄い色は電子線を照射しています。(両方ともその後加熱)いずれにしても天然で取れるトパーズは無色透明のものがほとんどのため、いろいろな処理をして宝石へと生まれ変わります。

もちろん私は天然の素朴なトパーズが好きなのですが、もしそれをアクセサリーにして、お友達にプレゼントしたら、…むこう1世紀口きいてもらえないわ。(そう、これはお友達にイヤリングを作ってあげたくて仕入れたばかりだったのです。私の好きなごろごろした石ころはアクセサリーにはなりっこないものばっかりです…)あと、宝飾品としてのトパーズはさすがに綺麗でした。

Dvc10141 組成:Al2SiO4(F,OH)2で、硬度は8。(黄色系統のものはOHタイプ、青いものはほぼFタイプです。屈折率はOHの方が高いですが、屈折率そのものはどちらもそんなに高い方ではありません。)本来”貴石”と呼ばれる石は硬度8以上であることが求められているので、トパーズはまがうことなく、貴石に分類されます。(本当はその他は「半貴石」です。クリスタルも半貴石。)超音波洗浄はお勧めしませんが、それ以外は取り扱いも楽ちん。そして何処までも透き通ったガラス光沢。

トパーズの石言葉は「誠実」です。本来はOHタイプの黄色がかったものをいっていたのかなと推測しますが、このブルーったらinformation ageの申し子のようにとても新しく、不安を吹き飛ばしてくれる色。石としての効果は伝統的な黄色のものとは違うように感じますし、好き嫌いもあると思いますがアクセサリーとしてならこれほど映える石もなかなかありません。実はトパーズは退色しやすいのですが、処理されているものは安定なので、よほどのことがない限り(直射日光に放置等)綺麗な色を保ちます。

11月の誕生日の方、おめでとうございます。ブルートパーズは私にとって、都会的な女性の象徴。量も取れる石なので、カジュアルに使っても平気平気。トパーズが貴女の夢に力を与えてくれますように。

(貴石の定義ですが、業界によって違うことを最近知りました。ごめんなさい。確実な定義はなく、トパーズを貴石に含まないこともあるようです。2009年1月10日加筆)

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ローズクォーツ・球

突然ですが、斎藤由貴さんが歌っていた「白い炎」という歌を知っていますか。私、小学校のころ、スケバン刑事という漫画原作の30分(位だった思う…)の番組があったのですが、それのエンディングテーマだった曲なんです。(←年がばれる)風が冷たく感じられるころになると、なんとなく口ずさんじゃう曲。幸せ色の歌ではないのですが、寒さの中で好きな人への情熱が息づいている景色が感じられるのが好きです。「わーたーしー、愚かな女の子ですかー♪」もう、ほんっとその通りの愚かな女の子でした。私。

Dvc10160 さて、「またか」と思った人、ごめんなさい。今日は私の大好きなマダガスカル産のローズクォーツ、以前ブログをはじめたばかりの時に紹介したものとは別のもので、これはマダガスカル産のものが市場に出始めたばかりの頃に買った30mmのもの。もう15年も経つんだなーと思います。(当時は学生だったので、お金がなくて「えいっ」とばかりに買った記憶があります)お店の方が、「宇宙みたいで綺麗でしょうー。」とおっしゃいました。まだあのお店あるのかなぁ。

マダガスカル産のものは、透明感があっても、どこかとろんとした優しげな色合いのものが多いです。スターが出るのもこのタイプ。私は性格的にブラジル産のそらさない、真っ直ぐな光が好きですが、悲しみに沈んだ心を慰めてくれるならマダガスカル産のものの方がいいのかもしれません。化学式は当然SiO2、硬度7です。

Dvc10161 ブラジル産のものと、マダガスカル産のものは少し慣れると何となく見分けがつくようになります。発色の原因はまだわかっていないようですが、このローズクォーツのピンク色にもいろいろなバリエーションがあり、赤やアズキ色のようなものからラベンダー色まで様々です。(今まで一番圧倒されたのは、お友達と行った荻窪のお店で彼女が買った大きなブラジル産のローズクォーツ。不透明なものでしたが、濃い目のピンクが本当に美しいものでした)

表面に小傷をいくつかつけてしまいましたが、ついた傷の分だけ私を助けてくれた優しい石。極端に産出が減るような石ではありませんが、気に入ったものにめぐり合える確率はそれほど高くありません。持っている方、大切にしてくださいね。

よい日曜日となりますように。

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